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ロンドン在住16年目
編集者歴23年のマダムが 旬のロンドン情報を お届けします♪ ロンドンのガイドブック 『歩いてまわる 小さなロンドン』 を出版しました。 ライフログ
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明日の土曜はオフィスの引っ越し日である。ほぼ10年間にわたるショーディッチ勤めにピリオドを打ち、来週の月曜からカムデン・タウンのオフィスに出勤となる。
オフィスの引っ越しを決めたのは、単純にオフィス・ビルから家賃の値上げを宣告されたからである。それも、5%とか10%ではなく、約30%の値上げ。しかも1ヵ月前告知である。このご時世であるから、なるべく抑えられるところは抑えたいということもあり、この機会に少しでも自宅に近いところで、なおかつもっと割安のところということで、ショーディッチ大好き人間のちまめちゃんの理解を得ながらカムデンに引っ越すことに決めた。 最終日となる金曜日、夕方から荷造りを始め、なんとかまとまったところで、ショーディッチ人として最後の夜を過ごすためホクストン・スクエアのバーのどこかへ行くことにした。最後の夜に選んだのは、CRUというワイン・ブラッセリーの後にできたThe Breakfast Clubという名のアメリカン・バーだ。 CRUは素晴らしいワイン・リストを持つブラッセリーだった。ダークな色のテーブル、落ち着いたロー・トーンのインテリア。何よりも、洗練された美味しいおつまみとディナー(そしてデザート)。大好きだったのに、客もたくさん入っていたと思ったけど、ある日突然クローズしていた。その後にできたのが、このあられもなく明るくアメリカンなThe Breakfast Clubなのである。まー、同じような店をつくっても仕方ないし、そこがレストラターとしての戦略なんだろうけれど……。とはいえ、ちょっとしたスナックをつまみながら友達とおしゃべりするには、この店も悪くない。(客層の平均年齢はCRUに比べてゆうに15歳は若返っている印象だが。) 今でこそファッショナブルな若者エリアとしてバーやクラブがひしめくオールド・ストリート界隈だが、その昔、20年くらい前までは、ちょっと寂しくて荒んだ倉庫街だったという。時代の変遷で建物が倉庫として使われなくなると、家賃が安いこともあり、天井の高い広々としたスペースを求めてクリエイティブな職業の人々が次々と移り住んできた。アトリエやスタジオとしてうってつけだからだ。そのうち彼らの活力やクリエイティビティが街全体に反映されてきて、今のような姿になったのである。 Kはちょうど20年くらい前、この界隈にあるデザイン事務所に務めていたが、その頃の社交場といえば、今となっては伝説のBricklayers Armsというパブを含む数軒のみ。新しくCantaloupeという店ができたときは、洗練された「バー」の出現に、同僚とともに驚きを禁じ得なかったという。 私がショーディッチ人になった当初は、ちょうどおしゃれな若者エリアへの変貌を遂げつつあった頃で、メディアの注目を最も浴びていた時代だ。数年後にセンセーショナルな現代アートを扱うことで知られるギャラリー、ホワイト・キューブがホクストン・スクエアにでき、小さなアート・ギャラリーやバーがますます増えていって、今ではショーディッチといえばおしゃれタウンの代名詞。この街のクリエイティブな空気をたくさん呼吸した10年間でした。 さよならショーディッチ、そしてありがとう。またすぐCay Treにベトナム料理を食べにきマース。
by vallerfish
| 2009-07-31 23:03
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